山瀬まみの「花売り娘」編

山瀬まみのベストアルバムを手にいれ、聴いて過ごしていた2011年春。職場の向かいの人に山瀬まみのアルバム薦めたりして呆れられたりしていた頃、突然の海外出張を告げられる。
急に大きな仕事が舞い込んでしまい、人手が全然足りていないらしい。海外出張は未経験であったし、一度実績作ると次も依頼が来やすくなるのを警戒し、一応渋ってみたものの、この会社得意の高速対応であっと言う間に次の週からの韓国行きが決まってしまう。
僕の仕事経験上最も過酷だった半年がここから始まる。
前年の新婚旅行で初めて作ったバスポートを手にソウルへ向かう。空港に降り立つと、周りの看板はハングル文字ばかり、周囲の人の言葉もさっぱりわからない。上司につれられ事務所に到着。
助けを求めてきた案件担当の人から状況を聞くと、突然舞い込んだ仕事で何の準備も出来ていない、納期は短い上、顧客からの資料の提出要求がたくさん来ている。初日から夜遅くまで仕事となり、異国の地を堪能するなんて余裕は一切ない。毎日宿泊先と事務所を往復するだけの日々が続く。救いは韓国は近いので二週間おきの帰国が認められていた。しかし、更に状況が追い込まれると帰国する余裕すら無くなってしまう。やがて時間が無いなか付け焼き刃でこなした影響が、徐々に現地工事に現れ始める。
私はあくまで案件担当者のフォローという立ち位置だったが、担当は顧客との打ち合わせに追われ、実質の実務は慣れない僕が1人こなしていた。打ち合わせで居ないことの多い担当者の代わりに、関係者から問題原因追及の矢面に立たされ責め立てられる。何とかリカバーしようと更に必死に対応するが、次々に新たな問題が発生。負のサイクルに陥る。
このように精神的に追いつめられていった。
ある朝起きて、このまま黙って日本に帰ってしまおうか…
そんな思いに駆られるようになっていった。
そんな中、唯一の心の安らぎになっていたのが山瀬まみの歌だった。仕事の合間に、収集した山瀬まみの歌っている映像を眺めていた。

特に心の励みなった曲がある。
山瀬本人の作詞による「花売り娘
※"親指姫ふたたび"に収録(廃盤)
以下は印象に残った歌詞たち

夢なんて見れずに今日も
夜が明けてひとつ深呼吸をした

テレビ、ラジオ、
いつも仕事に明け暮れる日々よ
明日は夢が見れるかな

仕事は選ばず 笑顔も絶すことなく
花を咲かせ続けるよ

鳴かず飛ばず忠犬ハチ公
何でもしますわ、だから仕事を頂戴な

人をコケにすることもよくある事だけど
笑い飛ばすキャラクター
親の顔が見たいなんて言わせないから
パパママ安心してね
私はいつでも陽気な花売り娘…

入れ替わりの激しい芸能界を生き抜くため、嫌なことでも要求とあれば懸命にこなす。視聴者から文句を言われようとも、求められた役割をやりとげる。それでも明るく笑顔で前向きに取り組んで行く。こんな飾らない素直な歌詞に僕も負けちゃいけないと、くじけそうな気持ちを踏みとどまり、仕事に向かっていた。
-何でもしますわ、だから仕事を頂戴な
これはまさに仕事を探していた当時思っていたことでもあり、この歌に強い共感を抱いていた。

山瀬まみの歌に支えられ、夏には何とかこの仕事を終わらせることが出来た。今に思えば自分の未熟さも大きな原因であったが、その後の仕事において大きな糧となった。
その頃僕にとって山瀬まみは女神のような存在となっていて、その想いは「好き」なんて単純な言葉では表せない、いよいよ誰にも理解し得ない特殊な感情となっていた。

帰国後、山瀬まみに出会う方法はないか考えると、自分が新婚であることを思い出した。
「新婚さんいらっしゃいだ!」
そう思い付いたものの、夫婦テレビで下ネタ話す自身が無かったので、結局応募はしませんでした。(応募方法は調べたけと)

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